今日は中国のSNSで話題になった「南方小土豆(南方の小さいジャガイモ)」という呼び名を紹介します。
元日連休期間中、中国の東北にある黒竜江省ハルビン市は国内一番人気の観光先になりました。それにより、「南方小土豆」という言葉もネットで流行るようになりました。
■「南方小土豆」とは?
「南方小土豆」という言葉は東北地域へ観光に来た南方の人を指しています。浅い色のダウンコートを着て、可愛い帽子を被って、スーツケースに座っても足が地面に届かないほど背が低いから、東北の人からこの呼び名をもらいました。
この言葉はもともとネット上のある面白動画から来たものです。動画の中で南方訛りの男性が手に小さいジャガイモを持ち、皆さんに「これは南方の小さいジャガイモ、とても美味しんだよ」と紹介します。その後、東北へ観光に行く南の人が「南方小土豆」と自称はじめたそうです。東北の人も親切を示すために、観光客を「南方小土豆」を呼ぶようになりました。「小ジャガイモ」以外、「ジャガイモプリンセス」、「小金豆」などの呼び名もあります。
■「南方」と「土豆(ジャガイモ)」は差別用語?
しかし、その呼び名は一部のユーザーに不快感を覚えました。「南方」と「土豆(ジャガイモ)」が地域と身長に関連する二重の差別を含んでいるからです。この呼び名は主に南方の女性に使うから、南の女性へのステレオタイプだという指摘もあります。
1月3日、「南方小土豆ステレオタイプ」が中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」でトレンド入りしました。
河南省テレビ局の大象評論がウェイボーで「『南方小土豆』という呼び名に問題あると思いますか?」の投票を行われました。10万人超のユーザーが投票に参加しました。
そのうち、6.5万人が「問題ありません。愛称で呼ぶことは無害です。ネット用語にはあまり深く考えすぎないほうが良いです」、1.9万人が「問題があります。この呼び名はステレオタイプの印象を含んでおり、南方の人々を柔らかすぎると捉えています」、2万人が「評価するのは難しいですが、冗談は適度にすべきです」に投票しました。
また、北京日報のウェイボーで行われた「南方小土豆という呼び名、あなたはどう思いますか」の投票でも、53%のユーザーは「可愛い」、14%が「とても嫌だ」、12%が「あまりよくない」、21%が「気にしない」に投票しました。
過半数のユーザーは地域や身長の差別ではないと考えているそうです。
あるユーザーは、「南方小土豆」は笑いネタとして適当に使うのは問題ありません。女性本人が気にしなければ、自称してもいいですが、「南方の小ジャガイモを飼いたい」、「南方の小ジャガイモがお兄じゃんにありがとう」など、もはや冗談や身長の範疇を超えて、これは強制的に女性のステレオタイプのイメージを作り出しているものです。女性は「小さく」、「柔らかく」、「なよやかで可愛い」でなければならないとされています。これは歪んだ美的基準に合わせているだけです、というコメントを投稿しました。
中国のある財経コメンテーターは、「南方小土豆」についての論争は南北文化の巨大な違いを示しています。近年東北地域の発展にはいくつの困難や挑戦があって、南北の交流も以前ほど多くではない。初めて東北に来る南方の人々がこのようなからかいに直面すると、誤解や反感が生じることは理解できます、と指摘しました。
2023年末から2024年初め、中国東北にある黒竜江省ハルビン市は国内一番人気の観光先になりました。中国の旅行情報サイトの「馬蜂窩(マーフォンウォー)」のデータによると、ハルビン市の人気度は前期比300%急増し、2023年冬中国国内1位の目的地となりました。また、中国最大の民泊サイト「途家(トゥージア)」のデータによると、ハルビンが中国でもっとも人気のある民宿の目的地となり、2024年元日の民宿の予約数は2023年の同期比と比べて27倍に増加しました。
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